研究概要 |
本年度は粉砕した歯冠用硬質レジンと牛血清アルブミン(以後BSAと略す)のゼータ電位とBSAの吸着実験後のゼータ電位の比較行った. 【方法】被験材料には粉砕した歯冠用硬質レジン8種とBSA(Sigma-Aldrich Co.,St.Louis)を使用した.ゼータ電位は顕微鏡式電気泳動装置(ZEECOM^[○!R]ZC-2000Microtec Co.,Ltd)で測定した.10mM NaClに試料を分散させ,静置後,上澄みをデカンテーションし測定サンプルとした.BSAは10mM NaClに2.0×10^<-5>mol/lの濃度で溶解させた.BSA吸着実験ではBSA溶液に試料を分散させ,rotatorで回転させ3時間吸着させた.BSA溶液から試料を集め,10mM NaClで3回洗浄後,同液に分散させ静置後,上澄みをデカンテーションし測定サンプルとした.吸着実験前後のゼータ電位とBSAのゼータ電位からBSAの吸着状態を比較した. 【結果と考察】歯冠用硬質レジンとBSAのゼータ電位はすべて負となり、BSAは歯冠用硬質レジンよりも負に小さかった.ソリデックスとエステニアC&BはBSAを吸着しやすくBSA吸着実験前後のゼータ電位に有意な差がみられたが光エプリコードとプロシモ,ルナウィングはBSAの吸着が少なく有意な差がみられなかった。BSAは歯冠用硬質レジンに吸着することでゼータ電位を0に近づけると考えられた.以上により、粉末試料と平板試料ではゼータ電位とBSA吸着実験後のゼータ電位に大きな相違が認められ、これらの実験系には吸着現象の吸着媒として固体を使用する重要性が示唆された。
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