研究概要 |
歯科用金属として金合金,金銀パラジウム合金,コバルトクロム合金およびチタンを用いて剪断接着試験用試験体を鋳造によって作製した.これら鋳造体を耐水研磨紙によって研磨し,さらに琢磨機によって鏡面として試験体とした.これら試験体に直径5mmの穴のあいたマスキングテープを貼付して,常温重合レジン(ユニファースト)を筆積法によって接着面に盛り上げ,レジン面にレーザー光を1回照射した.レーザー光としては,1064nmの波長のNd:YAGレーザーを用いた.レーザー光の照射条件は,印加電圧150〜280V,パルス幅2〜10ms,スポット径は最大スポット径の2.0mmとした.レーザー照射後,接着強さの測定は,万能試験を用いてクロスヘッドスピード1mm/minで圧縮勇断試験を行った.その結果,いずれの条件でもレジンは簡単に剥離してしまった.また,強いエネルギー照射では,レジンが焦げる状態であった. 工業界では,SUS304,チタン,アルミニウム合金などにポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートなどの樹脂をのせてレーザー光を照射すると接着することが報告されている.そこで,サンドブラスト処理したチタンにポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートを圧接しレーザー照射すると接着することが判明した.しかし,今年度の研究結果からは,歯科用レジンとの顕著な接着強さが得られる条件を見出す成果は得られなかった.
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