研究概要 |
歯科補綴物のフレーム材料は,機械的強度の観点から一般的に金属材料が選択される.しかし,金属材料では,患者の審美的要求を満たすことはできない.そこで,審美性を得るために金属にセラミックスや樹脂を接着した複合材料として利用している.本研究は,金属と樹脂の接着について新しい接着方法としてレーザーを用いた方法の研究を行っている.実験に使用したレーザーは,波長10.6nmのNd:YAGレーザーを用いた.金属としては,JIS2種の純チタンを用い,樹脂としては,工業用樹脂のポリエチレンテレフタレート,アクリル,ポリアミド,ポリカーボネートの4種類を選択した.樹脂は,直径6mm,厚さ2mmの円盤状に加工して試験体とした.純チタンは,直径25mm,厚さ9mmのインゴット表面をサンドブラスト処理および鏡面研磨処理とした.レーザーによる接着は,純チタン板上に樹脂を置き,樹脂面からレーザー照射を1回行った.レーザー照射条件は,印加電圧およびパルス幅を変化させ,スポット径は2.0mm一定として,樹脂が黒く焦げずに接着する条件を検討した.接着強さは,圧縮せん断試験によって求めた.その結果,ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて,サンドブラスト処理した場合が19.5MPaを示して最も大きい接着強さを示した.また,鏡面研磨した表面でも17.7MPaを示した.今回の実験結果から,レーザーによって微小部位を短時間に接着することが可能であることが判明した.しかし,樹脂の種類によって接着強さが異なった.
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