研究概要 |
CAD/CAM用セラミックに対するレジンの接着耐久性を増加する目的で,γ-MPTSを含有するプライマーA1,γ-MPTSに1,2-ビスエトキシエタン(BTS)を加えたプライマーA2,塩酸を含有するプライマーBから成り立つ2ボトルタイプの2種類のセラミックプライマーを調整し,接着耐久性について市販のセラミックプライマーと比較検討した。 セラミック表面はプライマーA1とプライマーBの混合物,または,プライマーA2とプライマーBの混合物で1分間シラン処理し,エアー乾燥した。市販のGCセラミックプライマーとポーセレンライナーMは説明書に従って用いた。 その後,レジンをシラン処理されたセラミック表面に接着し,重合させた。セラミック表面に対するレジンの接着強さをサーマルサイクル前後について測定した。 その結果,以下の結論を得た。 1.γ-MPTSに塩酸を添加した場合,サーマルサイクル前ではレジンとの接着強さが大きく向上したが,サーマルサイクル後では低下し,塩酸の濃度に大きく影響され,最適な塩酸濃度は0.05mol/Lであることが判明した。また,γ-MPTSの濃度が50mg/ml以上の濃度では,レジンとの接着強さおよび接着耐久性には影響を及ぼさないことが判明した。 2.γ-MPTSへのBTSの添加量が40mol%まではサーマルサイクル前のレジンへの接着強さに影響をおよぼさないことが判明した。しかし,サーマルサイクル後の接着耐久性ではBTSの添加量が多くなるにしたがって向上し,γ-MPTSに対するBTSの最適添加量は30~40mol%であることが判明した。このBTSの添加濃度範囲ではサーマルサイクルによるレジンの接着強さの低下は2MPa以下であった。 以上の結果から,セラミックへのレジンの接着耐久性を向上させるためには,塩酸およびBTSの添加が必要不可欠であることが示唆された。
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