高強度セラミック修復物の適合を評価し、修復物の長期経過安定に適した支台歯軸面テーパー度およびセメントスペース量に関する情報を検討した。 3種類のテーパー角(6゜、12゜、20゜)の大臼歯支台歯金型を連合印象採得し、作業模型を製作した。作業模型をCADシステムでスキャニングし、CADシステム上で3種類のセメントスペース(10μm、30μm、60μm)を設定した。CADのデータをCAMに転送し、酸化ジルコニウムセラミック(ジルコニア)コーピングが機械加工され、その後計72個のジルコニアコーピングが焼結された。内面および辺縁間隙量を走査レーザー顕微鏡で測定し、修復物の適合を評価した。 内面および辺縁間隙量はそれぞれ、54.0〜128.1μmおよび27.4〜77.8μmであった。テーパー角6゜、セメントスペース10μmのジルコニアコーピングの内面および辺縁間隙量は、他のグループに比較し有意に大きい値を示した。テーパー角6゜と20゜間において、3種類のセメントスペースに関係なく、内面間隙量に有意差が認められた。一方、辺縁間隙量は全ての支台歯テーパー角において、セメントスペース60μmのグループはセメントスペース10μmのグループより有意に小さい値を示した。 今回の結果から以下のことが示唆された。1)ジルコニアコーピングの内面間隙量は、支台歯テーパー角の増加に伴い、減少すると推測される。2)コンピューター上でデザインされたセメントスペースは、ジルコニアコーピングの辺縁間隙量に影響を及ぼす可能性がある。3)今回の研究で得られた内面および辺縁間隙量は、臨床的許容範囲内を示した。
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