研究概要 |
高強度セラミックス(ジルコニア)と前装陶材との接着強度を評価し、オールセラミック修復物の長期経過安定に適したセラミック築盛法について検討した。研究1ではジルコニアに熱膨張係数の異なる5種類のジルコニア専用陶材と1種類の金属焼付用陶材を焼成し,ジルコニアと前装陶材とのせん断接着強さについて比較した。研究2ではジルコニアに前装陶材を焼成した後の冷却速度の違いによるせん断接着強さの違いについて検討した。 研究1では接着体としてジルコニアを用い、ジルコニア用陶材を5種類,金属焼付用陶材を実験に供した。 それら陶材を使用し試料を製作し,その後せん断接着試験および破断面観察を行った。研究2では研究1と同様の方法で、ジルコニア専用陶材2種類(CZR,EMX)と金属焼付用陶材1種類(AAA)を築盛,焼成し,さらにそれぞれの陶材焼成後の冷却時間を0分とする群,4分とする群の2群に分けた。その後,せん断接着試験および破断面観察を行った。 本研究の範囲内において以下の知見を得た。1.ジルコニアとジルコニア専用陶材とのせん断接着強さは,陶材焼付用合金と金属焼付用陶材とのせん断接着強さと同等の強さを呈し,その強さは陶材自体の強度に依存することが示唆された。2.ジルコニアと前装陶材の熱膨張係数の違いはせん断接着強さに影響を与えると考えられた。3.ジルコニアに前装陶材を焼成後の冷却時間は,ジルコニアと陶材のせん断接着強さに影響を与えることが示唆された。
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