研究概要 |
人工舌の開発にあたり,日本人の平均的な舌の大きさ,および形態を把握し舌の標準三次元モデルを作製した.三次元モデルの作製にあたり,有歯顎を有する日本人男性40名,年齢が25〜77歳(52.6±12.5歳), BMIが20.1〜35.8kg/m^2(25.4±3.4kg/m^2)を対象に,舌および下顎骨の体積,舌/下顎骨比率を算出した.算出には, Spiral CT (Radix Prima),ソフトウエアはImage analysis software (Amira3.1)を用いた.下顎骨の体積はCT値200HU(軟組織を除くため)から最大値までのボクセルをオートマティックに抽出し,その数から算出した.舌の体積はセミオートマティックツールを用い,注意深く辺縁を抽出し,その辺縁に囲まれたボクセル数から算出した.舌/下顎骨比率は上記の両者から算出した. その結果,下顎骨体積(mm^2)は最小値62453,最大値112682,平均87806,標準偏差12079.6,舌体積(mm^2)は最小値60594,最大値115806,平均78990,標準偏差10607.8,舌/下顎骨比率(%)は最小値65,最大値131,平均91,標準偏差16.4であった.2006年,Okuboらは51名の日本人男性の舌体積をMR画像上で三次元的に計測し,平均78cm^3であったと報告している.本実験データもほぼ近似した値が得られた.また,舌の位置・可動範囲を決定する一つの要因となる下顎骨との比率の平均は91%であった. 今後はこのデータからフィジカルモデルを作製し,人工舌の開発を行いたいと考えている.
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