研究概要 |
本研究は,マルチフィジックス解析による手法を利用して補綴主導型コンセプトによるインプラント治療の診断・治療・予後・治療結果のフィードバックを統合した新しいシステムを構築することを目的としている。平成21年度は,顎骨3次元CT画像データから抽出した残存歯の歯根表面データを用いた有効歯根表面積の算出,および上下顎模型から咬合面から抽出した3次元データから咬合接触部位の作成および面積の計測,歯種ごとの咬合支持能力指数の算出するシステムを構築することを目指した。 1. 有効歯根表面積計測システムの開発 3次元モデルから残存歯根表面形状データを抽出して歯根表面積を算出する手法を開発した。次いで,得られた数値の精度検証のため,歯根表面積を実測する方法を検討した。単根歯においては近似は可能なものの複根歯では計測が困難なことが判明した。このため,次年度引き続きシステムの確立を目指すことにした。 2. 咬合接触域面積の算出 上下顎模型から咬合面の3次元データを抽出して咬合接触域面積を算出する手法は,有効歯根表面積計測システムの手法の一部を応用して可能となった。CT撮影データと口腔内模型とのデータとの相関性も良好であった。しかしながら,上下顎の立体データを重ね合わせる手法が確立できておらず,この点の改良を今後検討することになった。 以上の成果から,平成22年度は引き続き有効歯根表面積計測システムの開発のため,歯根表面積の実測値算出方法の確立と,これを応用してインプラント表面積の算出方法確立を目指すことにした。
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