研究概要 |
当該年度においては,研究実施計画における「接着ブリッジの口腔外検証」を中心に研究を行った. 実験1として,接着ブリッジで頻用される12%金銀パラジウム合金と4META-MMA/TBBレジン(以下レジンと略)との接着における接着界面の疲労限界を評価した.被着体表面処理はアルミナサンドブラストのみ(NP)とサンドブラスト後VTDモノマー含有プライマー塗布(VP)の2条件とした.表面処理を施した円盤状金属試料に真鍮リングを置きレジンで満たした.熱サイクルを0回と10,000回の2条件とし,ステアケース法を用いた繰り返し荷重試験を行い,疲労限界値を算出した(n=15).結果,熱サイクル0回において疲労限界はNPで22.0MPa,VPで26.8MPaを示し,有意にVPが高かった(p<0.05).疲労限界は熱サイクル付与により著しい低下を認め,NPで0.3MPa,VPが8.3MPaであった.これは,水中熱サイクル負荷により,ノンフィラー型であるレジンの機械的強度が低下したためと思われる.このことより,接着ブリッジへの応用ではできるだけ応力を分散させるフレーム設計が重要であることが示唆された. 実験2として,レジンのポリマー粉末組成が12%金銀パラジウム合金との接着強さに及ぼす影響を調べた.新規開発されたPMMA粉末をポリマーとして用いたレジンについて,12%金含有金銀パラジウム合金とのせん断接着強さを計測することにより性能評価をした結果,新規ポリマーによる接着強さは表面処理や熱サイクルにおける条件の相違に関わらず,市販MMA系レジンセメントより有意に高かった.筆積法と混和法で比較すると,全ての条件において筆積法が高い値を示した.特に,プライマー処理+熱サイクルという条件においては,筆積法が37.9±4.3MPaだったのに対し,混和法では14.0±6.9MPaと大きな差が見られた.接着ブリッジの臨床成績を良好にするには,適切なセメントを選択し,また適切な方法にて装着する必要性があると思われた. 他,関連材料に関する基礎的研究を行い,研究報告を行った.
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