研究課題/領域番号 |
20592308
|
研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
中嶌 裕 明海大学, 歯学部, 教授 (80188961)
|
研究分担者 |
日比野 靖 明海大学, 歯学部, 准教授 (20238322)
山賀 谷一郎 明海大学, 歯学部, 助教 (90049403)
|
キーワード | 歯学 / 歯科材料 / 歯科用セメント / インプラント / 仮着用セメント / 仮着 |
研究概要 |
本研究は歯科インプラント上部構造物固定に使用する最適なセメントを開発するための材料学的研究である。実験では試作セメントを作成しその組成ならびに硬化体の構造とセメントの物性との関係を調べる。インプラントへの補綴物固定に必要な材料学的根拠を検討し歯科インプラント治療をさらに容易に成功させる新たなセメント開発へつなげることを目的としている。本年度において試作仮着用セメントをもちいて材料組成とインプラントアバットメントへの維持力について検討をおこなった。カルポキレートセメント系を基本に試作セメントを作製した。この試作セメントにグラスアイオノマーセメント系のフィラー(S-PRGフィラー)を添加してその物性への影響と機械的強さ、鋳造冠の維持力について実験をおこなった。S-PRGフィラーの添加は、セメントの硬化反応に大きく影響を及ぼし添加量の増加にともない硬化反応が促進させることが明らかになった。セメント硬化体の強さは、経時的に増加する傾向を示したが、硬化後1週間以降は4週間まで有意な増加が認められなかった。このことから、セメントの硬化反応は1週間以内にほぼ終了し安定なマトリックスが形成されるものと推測された。グラスアイオノマー系フィラー添加に対するセメントの機械的強さへの影響については、S-PRGフィラーが添加量が粉末中4%までは、圧縮強さに大きな影響を与えなかった。しかしながら6%以上の添加は圧縮強さを減少させる傾向を示した。鋳造冠のインプラントアバットメントへの試作セメントによる維持力については、セメント硬化1日後では、フィラー添加量により差がみとめられるものの、1週間ならびに4週間後においては、鋳造冠の維持力に有意な差が認められず、市販仮着セメントでの維持力と同程度の大きさを示した。S-PRGフィラーの配合はセメント物性・操作性に影響を与えるもののインプラントアバットメントへの維持力には影響がないことが明らかになった。
|