コンポジットレジンの重合収縮という点に問題を絞り、その最大の原因であるモノマー自身の重合収縮を小さくするために、新規低収縮性モノマー混合物を用いたコンポジットレジンの開発を目的とした研究を行ってきた。これら混合モノマーの共重合体の物性を調べ、次いで、ハイブリッド型フィラーを用いて試作したコンポジットレジンについてもその物性を調べ、従来のものと同等であり、かつ重合収縮率が小さいことを明らかとしてきた。そこで、本年度は、試作したコンポジットレジンについて加速劣化を行ったときの機械的な性質の変化を調べて、耐久性について検討した。 フィラー含有率を変化させて試作したコンポジットレジンについて、1.3気圧100%水蒸気圧下での加速劣化試験機を用いて、超加速劣化試験を行い、試験後の機械的性質の変化を、圧縮強さ、間接引張強さ、および、曲げ強さ等から評価し、耐久性について検討を行った。この時、ベースモノマーの組成についても、エトキシ化ビス-フェノールAジメタクリレートのエトキシ化率の異なる2種類のモノマー(n+m=4、10)の配合率を変化させた混合モノマーを用いて数種のコンポジットレジンを作製し、モノマー組成が耐久性に及ぼす影響についても検討を行った。 この結果、エトキシ化率の大きなn+m=10のベースモノマーの配合比率が大きいものは、エトキシ化率の小さなベースモノマーの配合率が大きいものと比べて、加速劣化後の機械的強度は小さいが、その加速劣化前後の変化は小さかった。フィラー含有率に及ぼす加速劣化の影響では、フィラー含有率が大きなものほど、加速劣化による強度の低下が大きかった。これは、フィラーの表面処理に用いたγ-MPSの加水分解による影響と考えられる。 今後は、溶出物などの実用に向けての詳細な検討が望まれる。
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