研究概要 |
窒素含有bisphosphonates(N-BPs)による顎骨壊死のマウスモデルによる検討(LPSによる増強およびnon-N-BPのetidronate(Eti)による抑制):N-BPsは骨吸収の亢進を伴う疾患に広く応用されている.N-BPsが発熱などの炎症性副作用をもつことは知られている.最近予想外の副作用が注目されている."顎骨壊死とそれによる顎骨の露出"である.口腔細菌と歯科治療の関与が予想されるが,発症機序不明で,積極的な予防・治療の方法はない.我々は,NBPsの壊死作用のうち,以下のことを見出した.(1)NBPsの壊死作用には細菌感染が関与する.(2)Etiの細胞内取り込みを抑制することにより,NBPsの壊死作用を抑制する.(3)N-BPsの代用薬としてEtiを利用できる可能性がある. bisphosphonates(BPs)による顎骨壊死:顎骨壊死進行阻止と骨吸収抑制維持の試み.我々は骨粗鬆症患者4例,癌骨転移患者の1例,計5例においてN-BPsによる顎骨壊死を経験し,我々の基礎研究における成果を元にEtiに切り替えの試みを行った.結果:BPは骨シンチグラフィーにおける^<99m>Tcの担体として使われている事からも判るように炎症などの骨吸収亢進部位に多く集積する.顎骨に炎症が起こるとNBPsは過剰集積し,炎症・壊死につながると思われる.しかしEtiに切り換えると同じ顎骨炎症部位に集積し,すでに蓄積しているNBPsと序々に置き換わり,壊死を予防し進行を停止すると予想される.Etiは骨吸収抑制作用が弱く現在はその役割をNBPsが担っているが,Etiを炎症・壊死が治癒するまでの間,炎症・壊死と骨粗鬆症双方の治療薬として用いることが可能ではないか.今回の試みよりその可能性を見いだすことが出来る.
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