研究課題/領域番号 |
20592321
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
津島 文彦 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 非常勤講師 (90456210)
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研究分担者 |
東 みゆき 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 教授 (90255654)
櫻井 仁亨 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 非常勤講師 (30361710)
伊東 大典 東京医科歯科大学, 硬組織疾患ゲノムセンター, 特任講師 (40286844)
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キーワード | 口腔癌 / 口腔粘膜疾患 / 免疫抑制分子 / 上皮角化細胞 / 免疫療法 |
研究概要 |
本研究目的は、口腔癌および口腔粘膜上皮細胞に発現する免疫抑制分子B7-H1の癌および口腔粘膜疾患の病態形成における役割を解析するとともに、新しい免疫制御法開発を探ることである。ヒトケラチノサイトプロモーター(K14)のコントロール下に角化細胞上にB7-H1を過剰発現させたトランスジェニック(tg)マウスを作成し、BALB/cおよびC57BL/6系統に戻し交配をおこなった。DNFBをハプテンとした接触性過敏症皮膚炎モデルにおいて、B7-H1tgマウスにおける過敏反応は野生型マウスと比較し明らかに抑制された。しかし、感作後の皮膚樹状細胞の遊走や所属リンパ節内のCD4およびCD8T細胞のハプテン特異的な細胞増殖およびIFN-γ産生については野生型マウスと比較し明らかな抑制は認められなかった。このことより、角化細胞上に過剰発現したB7-H1は、感作時応答には関与していないことが示唆された。次に感作T細胞の表皮下への移入実験では、B7-H1tgマウスが宿主となった場合には明らかな反応抑制を認めた。さらにB7-H1tgマウス由来の角化細胞と感作CD8T細胞との共培養によるIFN-γ産生は明らかに低下するが、B7-H1抗体投与によりその産生量は回復した。以上のことから、角化細胞上に過剰発現させたB7-H1は、皮膚局所において抗原感作エフェクターCD8T細胞の機能を直接的に抑制し、末梢免疫寛容に関与している可能性が示された。また、メチルコラントレンを上皮内注射することにより誘導可能な上皮癌発癌モデルでは、接種早期(3-7日)の炎症反応はB7-H1tgマウスにおいて明らかに抑制されているにも拘らず、上皮癌発生率と生存率は、B7-H1tgマウスが有意に高く,この発癌率上昇はPD-1非依存性に起こっている可能性が示された。また、口腔粘膜樹状細胞を標的とした口腔粘膜疾患および口腔癌に対する免疫療法開発のために、口腔粘膜由来樹状細胞の免疫応答誘導能について、所属リンパ節を用いての情報を得た。
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