口腔癌の癌胞巣内および周囲間質にはさまざまな種類の免疫担当細胞が浸潤してきていることをこれまでに明らかにしてきた。本研究では、口腔癌へ浸潤してきている免疫担当細胞の存在と予後との関連を検討し、さらに免疫担当細胞の存在ばかりでなく、その性質との関連も検討していくことを目的としている。今年度は、口腔扁平上皮癌における制御性T細胞サブセットの役割に着目して研究を進めてきた。これまで制御性T細胞はCD4+CD25+CD69-Foxp3+で定義されてきたが、近年、制御性T細胞はケモカインレセプターの発現の違いにより、さらに複数の機能的に異なるサブセットに分類されることが明らかになった。今回われわれは、制御性T細胞が口腔扁平上皮癌の間質に存在すること、制御性T細胞全体の細胞密度は予後に影響しないこと、Th2ケモカインレセプターのひとつであるCCR4陽性の制御性T細胞サブセットにおいて、その細胞密度が増加すると予後が不良になることを明らかにした。現在は、癌胞巣内に浸潤しているCD8+T cell、NK cell、myeloid dendritic cell、 plasmacytoid dendritic cellの数とその性質、癌周囲に浸潤してきているCD8+T cell、NK cell、myeloid dendritic cell、plasmacytoid dendritic cellの数とその性質を比較し検討している。さらにこれらの細胞の存在とその性質、および癌治療後の予後との関連を統計的に検討していく。
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