研究課題/領域番号 |
20592329
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松岡 裕大 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 招聘教員 (50448148)
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研究分担者 |
中原 寛和 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 招聘教員 (70324796)
古郷 幹彦 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20205371)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / アポトーシス / 低分子Gたんばく質 / Rac |
研究概要 |
本研究では口腔篇平上皮癌細胞のRac活性を特異的に抑制することにより癌細胞がいかなる影響を受けるかを検討した。 我々は細胞骨格分子を制御する分子として、低分子GTP結合たんぱく質の研究を行い、以前の研究において、扁平上皮癌にRacを導入すると、低分子GTP結合たんぱく質の活性が上昇し、基底膜浸潤が増強されることを報告してきた。それらの現象は種々の浸潤能の異なった扁平上皮癌細胞ででも起こるかを検討した。その結果、我々が用いている、浸潤能Y-K分類における浸潤能3型のOSC-20細胞、浸潤能4C型のOSC-19細胞および浸潤能4D型のHOC313細胞すべての細胞において、起こっていることが判明した。そこで、Racを抑制することにより、基底膜浸潤を抑制し、さらには臨床的に転移を抑制しうる可能性をもとめて、扁平上皮癌細胞の低分子GTP結合たんぱく質Racを抑制する方法を考案した。 Racの掬制は特異的インヒビターSP600125とSB203580およびドミナントネガティブ遺伝子UN-RACを用いた。まず、Y-K分類で浸潤能4C型であるOSC-19細胞は低分子量GTP結合蛋白Racの活性を抑制することでアポトーシスが引き起こされた。しかしながら、正常細胞である線維芽細胞ではアポトーシスを示さなかった。そこで、Rac活性を抑制することにより、いかなるシグナル伝達分子が動いているのかをさらなる検討課題とした。Rac活性阻害したOSC-19細胞ではJNKおよびp-38の顕著なリン酸化が認められたが、線維芽細胞ではp-38のみリン酸化が認められた。またSP600125ではカスパーゼ活性が抑制されアポトーシスが抑制されたが、SB203580では抑制されなかった。この結果はRacが分子標的治療のターゲットになる可能性が示唆された。
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