研究概要 |
生後2-12日齢ラットおよび生後5-10日齢マウスの脳幹スライス標本を用いて、三叉神経中脳路核ニューロンよりwhole-cell recordingを行ったところ、1)両者共に、生後発達的にスパイク後電位の増大とスパイク発射特性については単一スパイク活動から反復発射活動、内因性バースト活動が観察されることが明らかとなった。2)Voltage-clamp recording条件下で内向き整流性K電流(Ih)、持続性Na電流(INaP)の電流特性が中脳路核内の細胞の局在によって変化がみられるか検証したところ、両電流ともに細胞の局在による明らかな特性の変化は観察されなかった。3)神経伝達物質の内、Glutamateによる両電流の修飾作用について検討したところ、IhについてはGlutamateにより最大振幅値は抑制され、抑制効果は生後発達的に増大することが明らかとなった。またCurrent-clamp recording条件下で観察されるvoltage-sagについても同様にGlutamateにより抑制された。さらに本抑制作用はゲート特性の変化によるものではなく、単一チャネルにおける電流密度の変化によるものであることが示唆された。時定数値についてはslow,fast成分ともに増大傾向を示した。今後他の神経伝達物質についても検討を予定している。中脳路核と運動核からの同時記録については今回の交付決定額ではアンプの購入が不可能なため、将来的に設備が整い次第取り掛かる予定である。一方、研究分担者らによる形態学的検討により、中脳路核ニューロンに分布する5-HT受容体陽性終末は主に5-HT1,5-HT2受容体であることが明らかとされつつあり、今後さらに検証を行う予定である。
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