研究概要 |
本年度は歯根形成過程でのHertwig上皮鞘(以下HERS),歯小嚢細胞,間葉組織の増殖帯およびセメント芽細胞におけるパールカン・ヘパラナーゼとソニックヘッジホック(SHH)の局在,発現について免疫組織細胞化学的な手法を用いて検索した,その結果,ヘパラナーゼはHERS,Malassezの上皮遺残に局在していた.SHHはin situ hybridizationの結果からHERS,間葉組織の増殖帯に局在しているものと予想されるが,結論を導くには本年度の観察結果に加えて来年度も引き続き観察が必要である. また,マウス下顎骨器官培養を先行実施し,培養歯胚での歯根形成状態の観察およびSHHの局在状況を確認した.マウス下顎骨器官培養には下顎第一臼歯が歯根形成期へ移行する直前である生後5日齢のICRマウスの下顎骨を使用し,7日間培養した,培養歯胚の歯根形成状態を確認するために,下顎骨採取時(以下DO)の下顎第一臼歯歯胚と培養3,5,7日目(以下D3,5,7)の下顎第一臼歯歯胚のHERS-歯胚全長比を比較した.その結果,D7ではDOの1.7倍HERSが伸長していた.この結果は他の器官培養報告と比較して遜色のない結果であったが,ヘパラナーゼの局在結果より培養環境で歯根形成後期を再現する必要性が生じた,そのため,来年度は培養期間の長期化などの工夫を新たに行なう予定である,またSHHの局在を免疫組織細胞化学的な手法で検討した結果,HERSと間葉組織の増殖帯での局在が示唆される結果を得たものの,来年度更なる観察が必要であった.
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