ES細胞用無血清培地hESF9にて無血清培養条件の検討を行った。FGF-2、TGF-β1およびアスコルビン酸は濃度依存的に間葉系幹細胞(MSC)の細胞増殖を促進した。hESF9にTGF-β1を加えたhESF10培地と血清を含む指定維持培地POWERDBY10間での各種遺伝子発現を比較検討した結果、hESF10培地ではヒトES細胞の未分化マーカーであるNanog、Oct3/4、Sox2の発現はPOWERDBY10よりも高く、また、hMSCマーカーであるCD90、CD105、integrin β1およびtype I collagenも高発現を認めた。一方、骨分化マーカーであるbone sialoprotein、osteopontin、osteocalcin、osteonectinの発現は、POWERDBY10に比べて低いことがわかった。以上のことから、hESF10は、未分化性と多分化能を維持したhMSC細胞の増殖を促進していることが示唆された。
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