研究概要 |
申請者らは,EFEMP2を低酸素下で発現誘導される新規遺伝子として,また,食道癌や大腸癌手術検体などで高発現している遺伝子として見出して来たので,本申請研究期間内に,1)低酸素誘導性の発現調節機構および,癌特異的発現調節機構の解明に取り組む.さらに,2)癌細胞における機能を分子レベルで明らかにする.3)分子標的治療対象としての妥当性を分子機能,細胞レベルで検討する事を目的に本申請研究を開始した. 1)EFEMP2低酸素誘導性の発現調節機構および,癌特異的発現調節機構の解明 i)EFEMP2プロモーター領域をHepG2 genomic DNAを鋳型としてPCRにて特異的に増幅し,pGL3 basicベクターにサブクローニングした. ii)上記プロモーターレポーターを鋳型としたPCR法により,欠失変異体,塩基置換変異体を作製した. iii)上記レポーターを口腔癌HSC2や肝癌HepG2などに遺伝子導入し,低酸素培養下で応答する領域を同定した 2)EFEMP2の癌細胞における機能の解明 i)複数の口腔癌の遺伝子発現解析より,通常酸素分圧下でのEFEMP2発現量,低酸素下での発現量の比較を行う. ii)HIF-1αsiRNAをHSC2細胞に導入して発現解析を行った結果,HIF-1α発現が抑制され、それに伴いEFEMP2の低酸素誘導が消失した. 3)抗EFEMP2ポリクローナル抗体を作製した. 以上本年度は,EFEMP2の発現誘導機構の解析準備が整い,がん細胞においてHIF-1により低酸素誘導されることが明らかとなった.今後、分子機能の解明と共に癌における発現誘導機構を制御する方法などの探索も行い、分子標的治療法開発に繋がるように期待している.
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