研究概要 |
顎骨延長法を効果的に行うために,延長部に対しPTHを導入し,骨硬化促進を解析することを目的とした。一部予定を変更し、BMPとヒアルロン酸を用いて骨芽細胞の分化を促進させる方法を評価した。 骨芽細胞様細胞株であるMG63を用い、BMP-2とHAを添加し、ALP活性を測定した。細胞内情報伝達分子である、リン酸化Smad1/5/8, p38, ERKタンパクの発現をウエスタンブロットにて解析を行った。この内、リン酸化Smad1/5/8に関しては核内移行を、免疫蛍光染色後に蛍光顕微鏡で観察した。加えて、BMP-2誘導によるHAの役割を明らかにするために、BMP-2レセプターアンタゴニストであるnoggin, follistatinのmRNA発現をreal-time RT-PCRにて測定した。 その結果MG63細胞におけるBMP-2存在下のALP活性は、BMP-2とHAで刺激時に増強された。またBMP-2存在下でSmad1/5/8のリン酸化と核内移行は、HAで刺激することにより増強された。 ウエスタンブロット解析では、BMP-2によって発現したERKのリン酸化がHAの添加により抑制された。BMP-2存在下におけるnoggin, follistatinのmRNA発現は、HA添加により有意に抑制された。BMP-2存在下における骨芽細胞分化はHAによって促進されることが明らかになった。 さらにHAの添加によりnoggin, follistatinおよびERKのリン酸化の抑制が引き起こされ、それによりBMP-2の活性が増強される可能性が、強く示唆された。
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