研究概要 |
平成20年度は咀嚼筋腱・腱膜過形成症における組織免疫染色および細胞のクローナリティー解析のための準備を行った.症例数は3例(全例女性)であった.組織サンプルをまず,手術室から持って行き,サンプルを組織免疫染色用およびクローナリティー解析用にメスで切除して分けて実験室の-80℃に保存した.通法に従って組織切片を作製し, Smad8, Tenomodulin, GDF-8, GDF-5について免疫染色を行った.その結果,全例において,各分子はタンパク質レベルで強く発現しており,咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者の腱組織での発現が確認された.とくに筋組織と腱組織の境界領域において発現が認められた.また,咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者では腱組織が異常に増殖していることから,クローナリティー解析を行う予定であった.本実験については,まずP. A. L. M. laser microdissection systemを用いて,紡錘形の腱細胞を含む領域を採取するLaser Captured Microdissection (LCM)を行った.しかしながら,腱細胞はlaserによる切断が予想を超えて困難であり,条件設定に時間がかかり試行錯誤を繰り返したが,安定して採取することができるようになった.ところが,採取した細胞のDNA抽出が微量のため,十分量のDNAがとれず現在微量サンプルからのDNA抽出については検討課題である.解決案として,微量サンプルからのDNA抽出キットの購入やLCMによる採取を数回に分けて行う方法などを考えている.
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