本年度の期間中には抗Dsg3抗体のエピトープ依存的な病原性の解析を行った。そのための方法としてIn vitro dissociation assayを用いてPV自己抗体の病原性の検討を行った。 前年度で得られたPV患者血清中の認識するDsg3エピトープ解析の結果をもとに、我々が開発した抗Dsg3抗体の病原性評価法であるin vitro dissociation assayにて検証する事を目的とした。具体的にはまずin vitro dissociation assayの条件を設定するために初代培養正常ヒト角化細胞を24ウェルプレートにてコンフルエントまで培養した後に、様々な濃度のカルシウムを添加し重層化の度合いを比較検討した。そして抗Dsg3抗体の病原性を評価するうえでDsg1の接着機能を調節する事が可能なexfoliative toxin Aの添加量を比較検討し詳細な条件設定を行った。次にエピトープ依存的な患者血清の病原性を評価する前段階として、臨床症状と抗Dsg3抗体価の相関関係をin vitro dissociation assayを行い、assayの妥当性を評価した。その結果臨床症状がactiveな患者血清はそのdissociation scoreが高く、また臨床症状がremissionの患者ではそのdissociation scoreが低いことが確認され、本方法は抗Dsg3自己抗体の病原性を定量的な評価に適した方法であると考えられた。次年度ではこれらの検証結果を基にエピトープの異なる患者血清の症例数を増やしIn vitro dissociation assayを用いて解析を行う予定である。
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