研究概要 |
本研究は,腫瘍抗原という特異抗原とOK-432という非特異抗原によってマクロファージ/樹状細胞に抗原提示を行うユニークな発想であり,腫瘍ワクチン療法という新たな特異的癌免疫療法分野を開拓することを目的としている.この発想から本年度はOK432重合腫瘍ワクチンの作用機序の解明を目指し,マウス移植舌癌モデルにおいて,以下の実績を得た.OK432重合腫瘍ワクチンによる活性化された免疫担当細胞から産生されるIL-2,IL-12とIFN-γの濃度が高値を示した。また,OK432重合腫瘍ワクチンによりTNF-αを誘導することが観察され,腹腔内マクロファージのNO値も有意に高値を示した。さらに,免疫組織学的細胞同定を検討したところ,CD169陽性マクロファージが確認された。従って,OK-432ワクチンにより,CD4陽性T細胞,細胞障害性T細胞(CTL)およびマクロファージの活性化され,強い抗腫瘍免疫応答を誘導することによって,がん免疫を誘導する新たな治療につながると期待できる。
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