研究概要 |
下顎歯肉扁平上皮癌における、骨吸収様式と破骨細胞分化誘導因子関連サイトカインの発現状況を、免疫組織学的に観察した。腫瘍細胞に明らかなRANKL,OPGの発現は見られなかった。しかし腫瘍細胞に、PTHrPが軽度に発現する例がみられたが、顎骨浸潤様式との関連は明らかではなかった。一方、ING(Inhibiter of growth)5の発現状況を観察すると、顎骨浸潤のみられない低悪性度癌でその発現増強がみられた。 扁平上皮癌細胞株を用いた検討:HSC3,HSC4を各々、ヌードマウス咬筋相当部に移植し、顎骨浸潤の有無と様態を観察した。HSC4は咬筋内に浸潤したばかりではなく、顎骨ないへの浸潤増殖が観察された。顕微鏡的に観察すると、腫瘍細胞は直接、顎骨と接触し、浸潤している像が観察された。骨と腫瘍細胞との間には間質が介在し、直接接触することはなく、むしろ顎骨浸潤には間質の介在が必要であるという報告が見られるところから、注目に値する所見と考えられる。 HSC3とHSC4を比較すると、後者ではperiostinの発現が観察された。また、各種、ストレスを加えると両株ともにperiositinの発現が増強きれることが観察されている。いずれも、ストレスに対する応答と考えられるが、その意義、とくに顎骨浸潤における役割について研究中である。と 各種扁平上皮癌株とビスホスホネートの顎骨浸潤抑制効果に関する研究:低濃度BPsにおいて、増殖抑制がみられた細胞とそうではない細胞株を比較すると、増殖抑制が見られた株では、カズパーゼの発現増強、Mito-capture法により、apoptosisを生じている可能性が示唆されている。現在、感受性による、各種タンパク質のmRNAをPCR法で検討している。
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