| 研究概要 |
(1) 口腔癌患者原発腫瘍・転移リンパ節組織におけるNF-κB活性とバイオマーカー分子発現との関連性の解析結果.口腔癌症例(舌、口底、頬粘膜、下顎歯槽歯肉、上顎歯槽歯肉、硬口蓋)において頸部リンパ節転移有りと無しの症例について、パラフィン包埋切片を用いてNF-κBの構成成分であるp65とバイオマーカー各分子(TNF-α,IL-1β,IL-6, IL-8, GRO-1, HGF, GM-CSF, COX-2, Cyclin D1, MMP-9, uPA, CXCR-4)の発現につき免疫組織化学的手法を用いて解析し、NF-κB(p65)活性と有意な相関性を示すバイオマーカーを同定した。すなわち、頸部リンパ節転移を示す症例においては、転移をみない症例に比較してNF-κB(p65)活性が有意に上昇しており、またMMP-9やuPAなどの細胞外基質分解酵素活性が上昇していた。今後症例数をさらに増やす事により、口腔癌患者におけるNF-κB活性と緊密な関連性を有するバイオマーカーの検出につながることが期待される。
(2) 口腔癌患者における治療効果と血清中バイオマーカー値との関連性の解析結果.(1)により同定されたバイオマーカー(MMP-9, uPA)に焦点を絞り、口腔癌患者の治療前の血清中バイオマーカー値をベースラインとし、放射線治療や抗癌剤治療施行中、また治療後1か月毎、あるいは外科的手術後の血清中バイオマーカー値を測定した。その結果、患者の臨床病態すなわち、治療に対する反応性との関連性において相関性が確認された。
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