研究課題
まず経費節減のため、FATモノクローナル抗体を自作した。ヒトFAT蛋白C末端の膜貫通領域よりややC末側の19アミノ酸をペプチド合成し、架橋、水溶化してラットの足背に注射後、鼠経リンパ節とヒト由来ミエローマ細胞からハイブリドーマを作成し、シングレコロニーを選引していき、シングルクローンを5種得た。ELISAに使える力確認実験を行い、ELISAが司能であった。モノクローナル抗体のチェックのため、ハイブリドーマ細包上清のアイソタイピングを行ったところ(マウスモノクローナル抗体アイソタイピングキット使用)、IgG1とIgG2bの2本のバンドが検出された。予備実験ながら得られたモノクローナル抗体5種の内、1つを用いで病理組織の抗FAT抗体の免疫染色を行ってみると、薄いながらも細胞膜が染まっており、FATが細胞接着に関連する蛋白である可能性が出てきた。今後、最適条件などを決めながら各種病理組織(がん、炎症、外傷など)におけるFAT発現の分布などをみる予定である。ヒト完全長cDNAは、自作困難のため、TAKARAに作成受託した。具体的作製手順としては、まずFATを発現している既製品Human Kidney Quick-Clone cDNAライブラリーからFAT遺伝子を3断片ずつPCRで合成し、断片にエラーガないか会長をシークエンスして碓認しながらそれらを結合する。エキソン2内で5か所、エキソン6内で1か所、データベースと異なる1塩基変異がみられた。この変異に関して、エキソン2の1か所はアミノ酸は不変(サイレント変異)だが他はすべてミスセンス変異であった。従って、このヒトFAT完全長cDNAベクターは5か所に変異があり、未完成なので、次年度に受託作成をひき続き(初年度は予算不足)、行う予定である。研究費の大半は、巨大FAT cDNAベクターの受託作成費と独力のモノクローナル坑体作成費に要した。
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Journal of Human Genetics 53
ページ: 296-302