1. ホルマリンテストによる炎症性疼痛に対する行動学的反応の検討:内側前脳束に6-hydroxydopamine (6-OHDA)を投与し、、片側のドーパミン神経細胞を破壊したパーキンソン病(PD)モデルラットの上口唇にホルマリン溶液を注射し、炎症性疼痛に対する痔痛関連行動(顔面こすり運動)の観察を行った。4%ホルマリン溶液50μlを上口唇に皮下注射し、5分ごとに90分間、疼痛関連行動の回数を測定した。 2. 炎症性疼痛に対する免疫組織学的反応の検討:PDモデルラットの上口唇へのホルマリン注射2時間後に灌流固定を行った。その後脳を取り出し、凍結切片を作製し、c-Fosに対する免疫組織学的染色を行った。切片の三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)内に認められるc-Fos陽性細胞数を顕微鏡にて計測した。またホルマリン注射5分後に灌流固定を行い、ERKに対する免疫組織学的染色を行い、切片内の陽性細胞数を計測した。 3. 結果:ドーパミン神経細胞破壊側とは反対側にホルマリンを注射した場合、内側前脳束に生食を投与したコントロールラットと比較して、最初の5分間の痔痛関連行動の減少が認められた。ドーパミン神経細胞破壊側と同側に注射した場合は、コントロールラットと比較して有意差は認められなかったが、増加傾向は認められた。Vc内のc-Fos陽性細胞数は、ドーパミン神経細胞破壊側と同側にホルマリンを注射した場合に増加が認められた。ドーパミン神経細胞破壊側とは反対側にホルマリンを注射した場合はコントロールラットと比較してc-Fos陽性細胞数に有意な変化は認められなかった。またドーパミン神経細胞破壊側と同側におけるVc内のERK陽性細胞数は、コントロールラットと比較して有意な変化は認められなかった。
|