研究課題/領域番号 |
20592377
|
研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
仲西 修 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (50137345)
|
研究分担者 |
石川 敏三 山口大学, 医学部, 教授 (90034991)
吉田 充広 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (40364153)
原野 望 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50423976)
甲斐 絢 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80453231)
|
キーワード | 癌性疼痛 / 神経因性疼痛 / グリア / 細胞再生 |
研究概要 |
本研究では、ラットの顎・顔面部レベルにおける癌性疼痛および神経因性疼痛の病態について脊髄の神經-グリア相互作用の時系列的・局所的変化を解明し、神経栄養因子誘導による治療が予防的および慢性期に治療応用できるか否か、基礎的知見を得る目的で研究を行った。 まず、眼下部にFreund's adjuvantあるいはWalker256Bを注入した炎症性性疼痛と癌性疼痛ラットモデルを作成し、抗炎症薬インドメタシンを炎症性疼痛ラットおよび癌性疼痛ラットに投与し、両疼痛の相違を明らかにした。さらに神経因性および癌性疼痛ラットの組織切片でのc-fos遺伝子の発症初期での発現を明らかにした。さらに、神経因性疼痛ラットにCOX-II阻害薬,p38MAPK阻害薬、マイクログリア不活性化薬をそれぞれ投与すると、各薬物で疼痛行動は有意に抑制した。このことより神経因性疼痛は発症初期に脊髄グルタメート神経系の活性化が引き金になり、連鎖するp38-MAPKの活性化がおこり、脊髄神経系のシナプス伝達が著しく修飾され、近傍の炎症担当細胞マイクログリアが活性化し、COX-II、p38-MAPKの活性化やBDNF(脳由来神経栄養因子)遊離を伴うことが統合して発症することが判明した。神経因性疼痛および癌性疼痛ラットにおけるマイクログリアおよびアストロサイトの関与を検討するため三叉神経節組織切片の免疫染色をそれぞれGFAP、lba1で行った。その検討、神経因性疼痛および癌性疼痛のいずれ疼痛発症初期にマイクログリアの活性化が見られ、遅れてアストロサイトの活性化が認められた。また、癌性疼痛ラットへのマイクログリア不活性化薬の皮下注を行うと癌性疼痛の有意な低下が認められた。このことより、神経因性疼痛および癌性疼痛のいずれの疼痛機構においても脊髄-マイクログリアの相互作用が関与することが明らかとなった。
|