研究概要 |
本研究の最終目的は,モデル動物唾液腺を用いてシェーグレン症候群の唾液中において特異的なタンパク質を発見することである。 今年度の予定は,糖尿病モデルマウスから摘出した耳下腺から分泌たタンパク質をプロテオーム解析して,特徴的なタンパク質を特定することであった。しかし,実験を進めるにつれて以下の事情が発生したため,戦略を変更した。変更理由1.補助金内では十分なプロテオーム解析は困難であった。2.I型糖尿病マウス(NOD/Shi Jic)を飼育して血糖値を測定したところ,糖尿病発病には,文献から予想されたよりも時間がかかった(28週令から糖尿病を発生し始めた。)3.また発病時期は固体により異なっており,タンパク質解析可能なタンパク量が得られる6匹程度の発病マウスを同時に得ることができなかった。 そこで,次のように戦略を変更した。 タンパク質の分泌検討には多数の発病マウスが必要であるが,遺伝子レベルの検討なら1匹から可能であり,網羅的に解析することにより,タンパク質の解析以上の情報が得られる。そこで,今年度は遺伝子レベルのタンパク質発現の相違をDNAマイクロアレイにより網羅的に調べた。 方法と結果:糖尿病を発病した28週令のI型糖尿病マウス,および同週令のコントロールマウス(C57BL/6JJcl)から耳下腺を摘出し,total RNAを調製してアジレント社のDNAマイクロアレイを委託した。その解析から,病態において減少するもの,および増加するものが抽出された。興味深いタンパク質について,焦点を絞り,現在,詳細な解析を行っている。 また,唾液腺から非刺激分泌されるタンパク質として,これまで無視されていたトランスフェリンに注目して,その分泌および分泌経路についての研究をまとめた(投稿中)。
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