研究概要 |
本研究の最終目的はモデル動物唾液腺を用いてシェーグレン症候群の唾液中における特徴的なタンパク質の発現を解明することである。今年度は,昨年度のDNAマイクロアレイ解析のデータマイニングから選ばれた13遺伝子について,リアルタイムPCRを用いてデータの確定化を行った。さらに,近年,膜タンパク質であるアクアポリンが唾液中に分泌されているという報告がある。DNAマイクロアレイ解析から,水チャンネル(アクアポリン)の発現に特徴的な相違が見られたことから,アクアポリンについても遺伝子およびタンパク質の発現の相違を調べた。 方法:NOD/Shijclマウスを飼育し,糖尿病発症前と発症後の群(n=4)を作成し,それぞれ,およびコントロールマウス(C57BL/6JJcl)の唾液腺を摘出した。これらの唾液腺,および唾液腺から調製した腺房細胞からRNAを調製した。リアルタイムPCRはロシュ社のライトサイクラーを用いた。アクアポリンについては,PCRにより遺伝子発現を検討し,ウェスタンブロッティングおよび免疫染色によりタンパク質発現および局在性を検討した。 結果:NODマウスにおいて,B2m, Chia, Klf2, Cst10,およびIfi27がコントロールよりも高い発現が認められた。また,この中でも糖尿病発症群におけるB2m, Chia, Cst10の発現は非発症群よりも有意に高かった。一方,Spt2, Myl1, Pvalb, SvaおよびHpの発現はコントロール群で高く,NODマウスにおいては発現が低下していることがわかった(発表準備中)。また,アクアポリンについては,糖尿病発症NODとコントロール間における遺伝子およびタンパク質の特徴的な発現の相違を確定化した(発表準備中)。
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