研究課題/領域番号 |
20592381
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
土屋 博紀 朝日大学, 歯学部, 教授 (30131113)
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研究分担者 |
溝上 真樹 朝日大学, 歯学部, 准教授 (10231614)
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キーワード | 局所麻酔薬 / 生体膜相互作用 / 膜流動性変化 / 脂質組成 / 麻酔作用と心毒性 / 作用機序 / 効果減弱と炎症 / 脂質過酸化 |
研究概要 |
受容体やチャネルとの結合だけでは充分に解釈できない麻酔薬の効果に関し、特異的膜成分、脂質組成、マイクロドメインに着目して生体膜との機序的相互作用を検証した。本年度は局所麻酔薬の主作用とその変化に焦点を当て、臨床的知見にも関連付けて考察すべく種々のリボソーム膜の調製や膜性状変化の解析等を行った結果、以下のような成果を得た。 1.生体膜モデルの調製中性、酸性、組織特異的リン脂質を用い、種々の組成から成るリボソーム調製法を確立した。そして、神経細胞と心筋細胞(ミトコンドリア膜)のモデル膜を作成し、様々な課題の解析にこの実験系を活用した。 2.特異的膜成分の関与従来の膜作用機序の課題:(1)イオン化分子の膜不活性、(2)立体異性体間における薬理活性の識別に関し、(1)は酸性リン脂質との、(2)はコレステロールとの選択的な相互作用に基づく膜流動性修飾によって機序的説明を可能にした。 3.病態と麻酔効果の変化炎症に伴い麻酔効果が減弱する薬理学・病理学的背景に関し、生体膜相互作用の視点から実験的に検証して従来の組織acidosis説を否定した。そして、炎症性peroxynitriteの関与(麻酔薬ならびに神経細胞膜脂質への影響)を代替仮説として提唱した。 4.方法論的開発上記の仮説を検討するために、脂質二重層標識試薬を利用した膜脂質過酸化抑制(抗酸化活性)の新規測定法を開発した。また、次年度以降の研究への方法論的寄与を目的に、スフィンゴ脂質とコレステロールの組成を調整することにより、マイクロドメインを想定したラフトモデル膜の調製に予備的実験で成功した。
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