研究概要 |
バイオガラス・レジンマトリックスのコンポジット素材を作製する場合、マトリックスの調整が重要となる。マトリックスを親水性にした場合、よりガラスが外部環境(水、唾液および体液)などと反応しやすくなることを実験から明らかとした。マトリックスの調整を水分計を用いて簡便に行う手法を考案した。現在使用されているレジンモノマーであるBis-GMA, UDMA, TEGDMA, HEMAを種々の配合にて調整した(カンファーキノン:光硬化型レジン)。その結果、分子構造中に親水性基と疎水性基の両方をもつHEMAを配合することにより石灰化誘導能を高める事実が判った。長期水中浸漬試験では、バイオガラス配合複合レジン素材が各種イオンを全く含まない蒸留水中においても炭酸カルシウムを主成分とする化合物を形成することがX線回折による分析から明らかとなった。さらに種々の無機質フィラー(フルオロアルミノシリケートグラス、ポルトランンドセメント、S-PRGフィラー)を使用して同様な実験(1~400日間の水中浸漬試験)を行った。その結果、フルオロアルミノシリケートグラス、S-PRGフィラーにおいて、石灰化物は全く形成されなかった。しかし、ポルトランドセメント粒子においては多量の石灰化物が形成されることから、バイオガラスの組成を変えることにより石灰化物誘導能を調整することが可能であると考えられた。現在、浸漬溶液に疑似体液(SBF)、人工唾液、ハンクス溶液などを使用して同様な実験を行っている。さらに現在、バイオグラスを作製し、さらにその粒子径を小さくする試みを行っている。
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