研究概要 |
重合による複合材料奴成形ではポリマーの重合度や分子量の制御が困難であることから、分子量が既知で適切な可橈性を有するポリマー[PMMAアクリペットVH(三菱レイヨン社、東京、日本)]をマトリックス材として選択し,そのアセトン溶解液へ強化繊維を浸漬・含浸させ、引き上げおよび乾燥ずることで、加温引き抜き成形に適切な原試料を作製することを可能とした。また、ジャケットヒータを利用することで200-300℃の温度範囲を制御可能な加温引き抜き成形器を製作し、今後のナノマテリアル含有によるポリマーの熱安定性向上への対応が可能な状況となっている。 フラーレンのポリマー溶液への分散に関しては、現状ではフラーレンの著しく高い凝集性により良好な結果が得られていない。このことを受け、多層カーボンナノチューブの磁化率の異方性に着目し、磁場による強化材料分散の検討を次年度の課題に組み入れる必要があると判断した。 さらに、歯冠色の着色剤の添加量に依存してポリマーの物性および機械的特性が低下する可能性が示唆されたため、当初の計画のひとつでもあった強化繊維の高強度高弾性率ポリマー繊維への変更および分散強化材料に他のナノマテリアルの追加を次年度以降の検討課題とする必要性があると考察している。現時点では、有効なナノマテリアルとしてモンモリロナイトを検討しているところである。なお、強仁材料を変更した場合であっても、初年度に構築した加温引き抜き成形のための原試料の作製手法に変更の必要は生じない。
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