近年、様々な研究により、動脈硬化に歯周病細菌や口腔レンサ球菌が関与している可能性が指摘されている。本課題では、動脈硬化の主要な原因となる泡沫細胞の形成にこれらの細菌が関与している可能性を研究した。ヒトマクロファージ株THP-1を用い、歯周病細菌および口腔レンサ球菌感染による泡沫細胞形成促進のメカニズムを調べた。いずれの細菌も菌の生死に関わらずマクロファージからの泡沫細胞形成を促進し、口腔レンサ球菌S.sanguinisに関しては、生菌感染の場合、菌数が多いとマクロファージが細胞死を引き起こすことが判明した。この細胞死に関してinflammasomeの関与の有無を調べたところ、caspase-1の活性化は見られず、むしろ活性酸素の関与が考えられた。口腔レンサ球菌がマクロファージの泡沫化を促進するという本研究の成果は新知見であり、これらの菌が感染性心内膜炎のみならず歯周病細菌と同様に心臓血管疾患にも関与している可能性を示唆するものである。
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