研究分担者 |
松口 徹也 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (10303629)
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (80295807)
吉田 礼子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60244258)
友成 博 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (70398288)
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研究概要 |
MyD88(-/-)とMyD88(+/+)(以下WT)C57BL/6新生仔マウスから単離した骨芽細胞を1週間分化誘導させた後,機械的刺激(10g/cm^2,20min)を負荷し、ケモカイン(MIP-2,RANTES,MCP-1)の発現をリアルタイムPCRで定量した。MyD88(-/-)の骨芽細胞では、MCP-1とRANTESの定常的な発現量はWTと同等あるいはわずかに増加したが、MIP-2の発現量は有意に低下し、機械的刺激後では、MIP-2発現の有意な増加は認められず、MCP-1の発現は増加したものの、WTと比較すると増加率は有意に小さかった。一方、MyD88(-/-)の骨芽細胞の機械的刺激によるRANTESの発現はWTと同程度に増加した。さらに、機械的刺激による骨芽細胞の細胞シグナル伝達機構を調べるために、MAPキナーゼ(ERK,p38,JNK)のリン酸化とIkBタンパク量をWestern blot法で解析した。WTの骨芽細胞では、機械的刺激によりの3種類のMAPキナーゼはリン酸化が認められた。MyD88(-/-)の骨芽細胞では、機械的刺激により3種類のMAPキナーゼのリン酸化が認められたが、WTと比較していずれもリン酸化量は減少していた。IkBタンパク量は、WTとMyD88(-/-)のどちらの骨芽細胞においてもわずかに発現していたが、機械的刺激による変化は認められなかった。これらの結果から,MyD88はMIP-2の定常的発現と機械的刺激によるMIP-2およびMCP-1の発現に関与しており、また、機械的刺激によるケモカインの発現誘導およびMAPキナーゼ活性化には、少なくとも部分的にMyD88を介しているが、NF-kB経路は介さないことが示された。このことから、MyD88は免疫反応だけでなく、機械的刺激による炎症様反応にも関与する可能性が示唆された。
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