1)FgfrlコンディショナルKOマウスの検索:本マウスにおいては、Amelogenesis Imperlecta(AI)が観察された事より、歯面の微細構造を検索し、その形態的特徴を明らかにした。加えて、分子生物学的検索より、各エナメルタンパクの分泌障害が観察され、上皮におけるFgfrlの発現がエナメル質形成に重要な役割を果たしていることを明らかとした。これらの知見は従来報告されておらず、FGFRIがヒトのAIやその発症遺伝子群に大きな影響を与えているものと考えられる。本研究は2008年Journal of Dental Researchに掲載された。現在、海外共同研究先とヒトAIのFGFRI変異検索、顎顔面、口腔の再生治療への応用に関して検討している。 2)Kallmann症候群の顎顔面ならびに歯科的検索:Kallmann症候群の家族の口腔内診査ならびに、エックス線診査を行い検討したところ、K本症候群においては、喪失歯数が多い事に加え、著しい咬耗が観察された。また、患者の抜去乳歯の石灰化状態、形態的特徴をマイクロフォーカスCT等で検討したところ乳前歯には著しい咬耗が観察され、石灰化の程度が不良であることが明らかとなった。平成21年10月開催の第26回障害者歯科学会大会(名古屋)にて発表予定。 3)FRS2α部分欠損マウスの検索:胎生期の同マウスをマイクロCTにて検索したところ、野生型マウスと比較して石灰化状態は不良であった。病理組織学的検索したところ、本欠損マウスにおいては、口蓋裂が見られることが明らかとなった。加えて、歯においては野生型マウスと比べて胎生一日程度の形成の遅れが観察され、象牙芽細胞の分化不全、エナメル質ならびに象牙質の形成不全が観察された。現在その詳細を病理組織学ならびに分子生物学的に検索中である。 平成21年5月開催の第47回日本小児歯科学会大会(大阪)ならびに第42回日本発生生物学会大会(新潟)にて発表予定。 これらの結果を踏まえ、現在各共同研究先と綿密に連絡をとり、今後の研究計画を立案している。
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