骨系細胞の性格を有するヒト歯根膜組織由来細胞(HPDLcells)に対するTRAP(酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ)の作用は不明であり、さらに機械的外力を伴う影響を検索した報告は皆無である。平成20年度はTRAPのHPDLcellsに対する分化誘導能を検索する為の予備実験として、マウス脾臓細胞とHPDLcellsの共存培養系を用いて破骨細胞がHPDLcellsの遺伝子発現に与える影響について検索を行った。破骨細胞は7週齢のBALB/cJマウスより採取した脾臓細胞に対してRANKLによる誘導を行い、HPDLcellsは咬合誘導上の理由で抜去された歯牙から採取した初代培養細胞を本実験で使用した。すなわち、HPDLcellsを24well培養プレートに2x10^4/wellの細胞密度で播種し、10%FBSを含むD-MEM培地にて3日間培養を行った。培養3日目に脾臓細胞を24well用のインサートに1x10^4/wellで播種し、5ng/ml RANKLを含む上記培地にてさらに4日間の培養を行った。培養終了後、インサートは4%パラホルムアルデヒド/0.4M PBSで30分固定を行い、50mM sodium tartrate、1.2mM naphtol AS-MX phosphate、1.3mM fast red violet LB saltを含む0.1M sodium acetate bufferによるTRAP染色を行った。また、HPDLcellsの細胞層よりIsogenにてmRNAを抽出し、タイプIコラーゲン(COL1)、アルカリフォスファターゼ(ALP)、オステオネクチン(ON)の遺伝子発現レベルをReal-time RT-PCRにより検索した。HPDLcellsは共存培養系においてCOL1およびALPのmRNA発現に変化はみられなかったが、ONにおいてわずかな上昇が認められた。次年度は破骨細胞の分化活性化に関連するRANKLおよびOPGの発現レベルについて検討を行う予定であ
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