小児期に歯を喪失した場合、顎骨の成長抑制や顎変形症が生じるなど口腔機能、形態に障害が生じること、さらに全身的にも知能や情動に影響を及ぼすという報告はある。同様に老年期に歯を抜いた場合、全身的に影響を及ぼすという報告はある。しかしこれらは小児期、老年期に抜歯し、その直後のみをみたものであって、長期間歯がない状態ではどうなるかの報告はない。 そこで老化促進モデルマウス(SAMP-8)を用い、離乳直後に抜歯し、その後若齢期、成年期、老年期まで臼歯がない状態で飼育し、中枢とくに海馬に及ぼす影響を調べる。具体的には歯の喪失によるストレスの有無を調べるための血中コルチコステロン濃度測定、海馬機能の代表としての空間認知能を調べるためのMorris水迷路テスト、海馬神経細胞数の測定のためのNissl染色、細胞新生測定のための免疫組織染色、細胞数の変化がストレスによる影響であることを明らかにするためグルココルチコイド受容体陽性細胞数測定、グルココルチコイドmRNASignal発現数を測定する。
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