研究課題/領域番号 |
20592427
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳田 学 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (80379081)
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研究分担者 |
山田 聡 大阪大学, 歯学部付属病院, 講師 (40359849)
橋川 智子 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00362682)
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キーワード | スフィンゴシン1リン酸 / 歯肉線維芽細胞 / IL-6 / ICAK-1 |
研究概要 |
S1P濃度は血漿では約190nM、血清では約480nMの濃度で存在する。活性化された血小板より大量のS1Pが産生されることから炎症部位ではさらに高濃度であることが予想される。今年度はS1P刺激により歯肉線維芽細胞内にカルシウム流入が引き起こされるか否かについて検討した。歯肉線維芽細胞上のS1P受容体であるS1P1、S1P2、S1P3のアンタゴニストで前処理した上で、S1P刺激を加えると細胞内カルシウム流入の程度は、アンタゴニスト非存在下でS1P刺激した群と比較して低かった。歯肉線維芽細胞におけるI1-6の産生および接着分子であるICAM-1の発現に及ぼすSIPの影響を検討したところ、10^<-5>M S1Pは歯周病原性細菌であるP.gingivalisのLPSとの共刺激で歯肉線維芽細胞におけるIL-6の産生とICAM-1の発現をLPS単独刺激群よりも増強させた。その効果はS1P2アンタゴニスト前処理群でほぼ抑制された。以上の結果よりS1Pは歯周組織において歯肉線維芽細胞よりIL-6、ICAM-1を発現させることにより歯周病病態形成に関与していることが示唆された。さらにS1P刺激による歯肉線維芽細胞からのIL-6、ICAM-1発現はS1P2を介していることが明らかとなった。現在、歯周病患者における歯肉溝滲出液中のS1P濃度計測のためのサンプリング中である。
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