研究分担者 |
塩見 信行 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90432632)
畑中 加珠 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50362992)
高柴 正悟 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
峯柴 淳二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00509383)
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研究概要 |
本研究は,糖尿病患者の歯周組織におけるMMP-3の産生亢進が歯周病悪化メカニズムに関わる可能性を検証するものである。今年度は,糖尿病由来歯周病悪化メカニズムを明らかにするための第一段階として,まず,通常血糖レベル下で培養された細胞を用いて,歯周病悪化を誘導し得る仮説をたて,検証することとした。すなわち,(1)炎症性サイトカイン,とりわけ代表的な炎症性サイトカインであるIL-6誘導性の歯肉線維芽細胞のカテプシン酵素活性の充進メカニズム,(2)歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis(Pg)由来因子による血管内皮細胞の反応,とりわけIL-6産生性およびそのシグナル経路の活性化,の2項目について検討することとした。得られた結果を以下に示す。 1.歯肉線維芽細胞のカテプシンBおよびLの産生はIL-6によって亢進し,とりわけ細胞膜蛋白のカベオリン-1がそのシグナル経路の一翼を担うことが判明した。 2.歯周病原細菌PgのFimbriaeは,HUVEC細胞のMAPK系を活性化することで,IL-6産生およびIL-6シグナル伝達分子gpl30の発現を亢進することが判明した。 以上のことから,歯周病悪化メカニズムは,Pgによる血管内皮細胞由来のIL-6産生の亢進,およびパラクライン的に歯肉線維芽細胞に作用するIL-6によるカテプシン酵素活性の亢進によるものと考えられた。この結果を踏まえて,次年度は,高血糖状態において,上記の細胞反応がどのように変化するのか,そして一連の反応がMMP-3の過剰産生によって,どのように修飾されるのかを検討する予定である。
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