研究課題/領域番号 |
20592431
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
吉村 篤利 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70253680)
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研究分担者 |
原 宜興 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60159100)
中山 浩次 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80150473)
金子 高士 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10284697)
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キーワード | 歯周疾患活動性 / 歯肉縁上プラーク / 歯肉縁下プラーク / 自然免疫 / TLR2 / TLR4 |
研究概要 |
歯周病の活動性を正確に把握することは、適切な治療法を選択し治療効果を高めていく上で非常に重要である。歯周病は、プラーク中の細菌および菌体成分による歯周組織の刺激に対する宿主応答によって引き起こされる炎症性疾患であることから、プラーク中の細菌や菌体成分を最初に認識する自然免疫系の活性化が歯周病活動性の指標となり得ると予想される。本研究では、自然免疫系の活性化に中心的役割を果たすTLR2およびTLR4の活性化を指標にして歯周炎の活動性を予測する方法を確立することを目的とする。健常者および歯周病患者(合計約141名)の上顎右側中切歯から、縁上プラークを滅菌スケーラーで採取した。それぞれのプラークのTLR2およびTLR4刺激作用を測定したところ、縁上プラークのTLR4刺激作用は、プラーク採取部位のプラーク指数、歯肉炎指数と正の相関を示し、TLR2刺激作用は、プラーク採取部位のポケットの深さ、臨床的アタッチメントレベルと負の相関を示した。TLR2/TLR4刺激作用比は、プラーク指数、歯肉炎指数、ポケットの深さ、臨床的アタッチメントレベルと正の相関を示した。また、採取した縁上プラークで歯周病非罹患被験者の末梢血単核球を刺激したところ、産生されるTNF-α、IL-6、IL-8、IL-10量は、TLR4刺激作用およびTLR2/TLR4刺激作用比と正の相関を示した。これらの結果は、縁上プラークのTLR4刺激作用が宿主の炎症反応の誘導に大きく関与し、歯周組織の状態にも影響を与えていることを示唆しているものと思われる。次年度は被験者のポケット最深部から縁下プラークを採取し、縁上プラークと縁下プラークのTLR2およびTLR4刺激作用の関連、縁下プラークのTLR2およびTLR4刺激作用と歯周病臨床パラメーターとの関連について解析を進めていく予定である。
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