研究概要 |
平成20年度:ヒト歯根膜中に存在するSide Population(SP)細胞で特徴的なフェノタイプの検討を行ったが、このSP細胞は必ずしも間葉系幹細胞が豊富に存在する細胞集団ではないことが明らかになった。 平成21年度:ヒト歯根膜細胞の骨分化誘導過程におけるTwistと各種BMP antagonistの発現動態を検討したところ、ヒト歯根膜細胞は恒常的にTwist, Gremlin, Follistatinを発現して自らの骨芽細胞様分化を抑制的に制御しており、骨芽細胞様分化が誘導されると、TwistとGremlin/Follistatinはその発現がそれぞれ促進的、抑制的に制御され、この細胞の骨芽細胞様分化を調節している可能性があることが明らかになった。また、ヒト歯根膜細胞中に存在するAlkaline phosphatase(ALP)陽性細胞と陰性細胞の特徴を検討し、ALP+細胞は骨芽細胞様の細胞集団であり、一方、ALP-細胞は細胞増殖能が高く、骨芽細胞様の分化能が乏しい線維芽細胞様の細胞集団であること、また、Biglycanは特にALP+細胞における骨芽細胞様分化を促進的に制御しており、一方Decorinは骨芽細胞様分化の誘導過程で発現が増加し、両細胞の石灰化を抑制的に制御している可能性があることが明らかになった。 平成22年度:ヒト歯根膜から回収した細胞からFACSで分取したCD271+/CD90+の細胞をsingle cell cultureし、間葉系幹細胞(MSC)の特徴を有するクローンを獲得する試みを行い、CD271とCD90は歯根膜からMSCを純化するためのマーカーになり得ることが明らかになった。
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