研究概要 |
マクロファージはほとんどの炎症部に出現し、炎症の制御や高進に係わっている。我々はラット腹腔よりマクロファージを取り出して無血清液中で培養しLPS(Lipopolysaccharide)を作用させてその機能を高進させた状態にさせ、歯周組織で起こっている炎症性変化の1つである歯周病のin vitroモデルとして用いた。無血清培養液中で培養されたマクロファージ内では培養後3時間経過してもIL-1β,IL-6やiNOSのmRNA発現上昇は見られない。その系に100ng/mlのLPSを作用させると、作用後2時間目からIL-1β,IL-6やiNOSのmRNA発現上昇が見られ3時間目にその発現はピークに達した。これらの因子は過剰に発現すると細胞や組織に傷害を与えると考えられている。LPS作用下で10ng/mlの酸化型ガレクチン-1を加えると、培養3時間目のIL-1β,IL-6,iNOSのmRNA発現レベルの抑制が見られた。この実験結果より酸化型ガレクチン-1によりLPSによるマクロファージの活性化が抑制されることが明らかとなった。歯周組織にガレクチン-1が局在していることから、実際の炎症でもその抑制に寄与している可能性が示唆される。現在酸化型ガレクチン-1の濃度依存性を検討中である。また、歯周菌(gingivalis)の培養時間18時間、42時間、72時間の3種類の培養上清を準備した。そのままの濃度では細胞毒性が強く、現在適当な希釈濃度を検討し、この培養上清がマクロファージに及ぼす作用と酸化型ガレクチン-1による効果の検討を今後進める予定である
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