研究課題/領域番号 |
20592447
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丹田 奈緒子 東北大学, 病院, 助教 (00422121)
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研究分担者 |
小関 健由 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80291128)
檜尾 好徳 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10282071)
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キーワード | 糖尿病 / 口腔内環境 / 揮発性硫黄化合物 / アセトン / 血糖 / 呼気 / 口内気体 |
研究概要 |
本研究では糖尿病患者の口腔内環境を、「口内有臭物質」で二次元的に調査し、全身状態と関連させた評価システムを構築し、口腔の環境の改善を通じて糖尿病や合併症の進行を予防することを目的とする。入院中の糖尿病患者に対し、細菌検査を含めた口腔診査を行い、口内気体ならびに呼気を採取し、当科で開発した揮発性硫黄化合物測定器でその濃度を測定し、それを基に、口腔衛生指導ならびに、口腔と糖尿病との関連について、教育する。その結果、患者の糖尿病への病識とともに、自身の口腔衛生についての認識向上をめざす。糖尿病患者の場合、その代謝異常の指標のひとつとして呼気中アセトンが報告されている。口内気体あるいは呼気中のアセトンを、上記のように糖尿病患者の教育に生かしていくためには、簡便な操作、リアルタイムの測定結果、病室へも移動可能なポータブル性、を持つアセトン測定機器が必要である。平成20年度は、その測定機器を試作開発し、(1)呼気中アセトンと口内気体中アセトンとの関係、(2)呼気中および口内気体中アセトンと、血糖、血漿インスリンの関係、を健常者で観察、また、(3)糖尿病患者で呼気中ならびに口内気体中アセトン、揮発性硫黄化合物を予備的に測定した。その結果、健常者では、食後経過時間によって、呼気中のアセトンと口内気体中のアセトンの推移に差があることと、血糖、血漿インスリン、呼気中アセトンには連動しての変化があることが観察された。さらに、血糖コントロール良好な糖尿病患者では、呼気および口内気体中のアセトン濃度に、非糖尿病者との著明な差は認められないこと、を、観察した。この結果、口内気体中のアセトンを代謝異常の指標のひとつとするためには、より多くの症例での測定と解析が必要で、口内気体中のアセトンと呼気中アセトンとの関連を明確にする必要性が示された。
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