研究課題
臨床的診断が診査者の主観に頼る歯肉炎に関して、その臨床徴候である出血に注目し、出血部位の毛細血管の形態と末梢循環の状態を検索した。それによって、歯肉炎の診断基準の設定に必要な用件を抽出した。I.末梢血液循環の評価機器の準備歯肉の毛細血管撮影装置のライトガイドと感染防御用のカバーを装着するために、カメラを再度改造した。しかしながら、微少エリアの画像撮影のための焦点調整と撮影部の特定と固定のための特別の仕掛けが必要であることが判明し、課題として検討中である。II.歯肉炎部位における毛細血管像、および、欝血の状態と歯肉炎の関連の検索本研究の実施に当たり、歯学研究科研究倫理専門委員会に実験実施の承認を受けた。臨床的な歯肉炎に関する末梢循環の状態を検索するために、歯周疾患に罹患していないが歯肉炎を持つ20代男性の被験者を募ったが、集団での実験実施の日程調整を図ったために、実際の実験開始の準備段階に留まっている。また、歯肉の炎症を評価する指標として、歯肉溝滲出液量とその採取後の炎症性マーカーの解析、歯肉の発赤を評価するための規格化写真撮影法とTUCLプローブによる一定の力での圧迫による歯肉の退色像の撮影、唾液の潜血試験と浮遊細菌数の算定、TUCLプローブによる規格化プロービング時の出血、内縁上皮の擦過時の出血、歯肉縁に接している歯垢量の位相差顕微鏡による評価を実施した。この実験から、これらの指標と規格化プロービングでの出血状態との関連による規格化臨床診断法の用件を確認した。