フッ化ジアンミン銀による高齢者根面う蝕部へのフッ素および銀イオンの取り込み観察 実験方法 根面う蝕を有する抜去歯を用いて、表層部のごく軟かい軟化象牙質層を除去した後、フッ化ジアンミン銀(サホライド[○!R])を用いて、う蝕部に塗布した。試片を蒸留水中(37℃)に14日間保管した後、樹脂包埋を行い、う蝕部の中心を通るように歯を縦断した。縦断面う蝕部について波長分散型マイクロアナライザーにより銀、カルシウム、フッ素の元素分析を行った。 結果及び考察 元素分析の結果、根面う蝕深部まで銀イオン、フッ素イオンの取り込みが観察された。また、当該部には、カルシウム濃度の増加も見られ、う蝕部の再石灰化の傾向が観察された。 フッ化ジアンミン銀はかつて乳歯う蝕の進行に抑制効果があるとされて、多用されていた。そのメカニズムは、銀イオンとフッ化物による殺菌作用とフッ化物による歯質再石灰化の促進効果などが挙げられている。我々は要介護高齢者のランパントカリエスである根面う蝕の進行抑制について、フッ化ジアンミン銀の有効性に着目している。今回の実験では、根面う蝕病変部内部へのフッ化ジアンミン銀の浸透性について検討した。今後はフッ化ジアンミン銀を塗布したう蝕部分の耐酸性の向上について検討を進める予定である。
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