本研究の目的は後期高齢者、とくに要介護高齢者に多発した根面う蝕の修復処置が困難な場合、フッ化ジアンミン銀(サホライドR)を用いた薬物療法による根面う蝕マネージメントの有効性を検討するものである。フッ化ジアンミン銀の研究は1970年代に主に乳歯う蝕に関するものが多く、永久歯根面う蝕に対する研究は見当たらない。従って38%フッ化ジアンミン銀塗布による歯根面の歯質浸透性、無機質及び有機質への影響、耐酸性の獲得、感染歯質内細菌の殺菌効果、臨床の実際でのバイオフィルム抑制効果およびう蝕の進行抑制効果、さらにグラスアイオノマーセメントによるう窩の仮封的処置との併用効果を検証する。
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