研究概要 |
本研究においては,初期定着菌Streptococcus gordonii,中期定着菌Fusobacterium nucleatumおよび後麺定着菌Porphyromonas gingivalisよりなる歯周病原性バイオフイルムモデルをin vitroで構築し,この混合バイオフイルム中で培養したP. gingivalisの菌体構成タンパク質と,単一菌種バイオフイルム中で発現している菌体構成タンパク質の発現状態の差異を包括的に検討することにより,混合バイオフイルム形成に関与しているP. gingivalis分子をタンパク質レベルで明らかにすることを目的としている.本年度は,P. gingivalis単一菌種,S. gordoniiとP. gingivalisの2菌種混合,およびS. gordonii,F. nucleatumとP. gingivalisの3菌種混合の培養サンプルからそれぞれに菌体タンパク質を調製し,トリプシン処理の後,2Dキャピラリー高速液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法(2D capillary HPLC/MS/MS)を用いて定量的ペプチド解析を行った.得られた結果に対しては,SEQUESTを用いてThe Comprehensive Microbial Resource(TIGR-CMR)に掲載されているP. gingivalis, F. nucleatum, S. gordoniiゲノム配列情報に対する相同性検索を行い,タンパク質分子を同定した.混合菌種培養条件下で発現が充進したP. gingivalis菌体構成タンパク質89分子,および発現が抑制された403分子については,The Database for Annotation, Visualization and lntegrated Discovery(DAVID)を用いて,現在遺伝子オントロジー解析中である.
|