研究概要 |
本研究では,歯肉炎のコンピュータ画像診断支援システム(CAD)を構築し,児童・生徒の「口腔」画像を数量化することによって,検者(学校歯科医)がG,GO,健全歯肉の3状態をCADシステムと同程度もしくはそれ以上のレベルで篩い分けできる能力を身につける(高い信頼性を得る)ことを目的とする。そのため,平成20年度は,まず,経験豊富な歯科医3名によって,学校歯科健診における歯周疾患の“診断基準"をもとに,健全歯肉,GO,Gについて再確認した。次に,保管されている口腔写真を利用して,キャリブレーション(診断標準化)した。さらに,口腔画像(前歯部および臼歯部の歯肉が確認できる画像)を収集し,歯肉の状態がよく確認できる画像写真を選択した(25症例)。その後,スキャナーで個人の写真を1セットとしてコンピュータに取り込んだ。液晶プロジェクタで25症例をおのおの「健全」,「GO」,「G」の3段階に区分した。一方,コンピュータプログラムの観点から,見やすく分かりやすい口腔画像の提示方法を具体的に検討した。 平成19年の時点で,コンピュータが歯と歯肉を自動鑑別し,歯肉についてはその良否(2段階)を専門家と同程度まで判別できるようになっているが,今年度の研究結果から,本来連続量的な「歯肉の状態」を,CAD結果をもとに3段階(健全歯肉,GO,G)に分類することができれば,従来,検者間のバラツキが大きかった学校歯科健診で有用な歯肉炎のスクリーニング基準を確立することができる可能性が示唆された。
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