研究概要 |
本研究では,歯肉炎のコンピュータ画像診断支援システム(CAD)を構築し,児童・生徒の「口腔」画像を数量化することによって,検者(学校歯科医)がG, GO,健全歯肉の3状態をCADシステムと同程度もしくはそれ以上のレベルで篩い分けできる能力を身につける(高い信頼性を得る)ことを目的とする。そのため,平成21年度は,昨年度の研究結果をもとに,本来連続量的な「歯肉の状態」を,3段階(健全歯肉,GO, G)に分類し,歯肉判定に習熟した歯科医師50名を対象に,彼らが各々の画像(口腔内状態)をどのような判定をするか基礎データを収集した。その結果,検者間のバラツキが大きかった画像,バラツキが少なかった画像について,ゴールデンスタンダードとの一致率から正解率を算出し,歯肉状態の判定評価の難易度を推定した。この難易度を各画像の重み付け指標とすることによって,学校歯科健診での歯肉炎のスクリーニング基準を作成した。これとは別に,口腔内規格写真(症例写真)を追加するため,さまざまな口腔内状態の歯肉写真撮影を継続した。また,Windows ExcelのVBA言語を用いて,歯肉画像をランダムに表示していくプログラム,画像を保護するプログラム,重み付けプログラム等を加え,研修医がどの適度「歯肉状態判定の正確性」を習得したかを評価するためのプログラムの構築を進めている。なお,近年MacBookコンピュータのVBA機能は削除されたことから,検討の結果,旧Macでのプログラム開発は無意味であることが判明した。
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